第4回 電車の中のいい話

前回に引き続き、電車の中でのお話です。
このコラムの場を借りて、お礼を伝えたい人がいます。
また、激しく感動したお話なので、皆さんにもお伝えしてみます。
さて私の拙文でその感動が伝わるかどうか。

先日、仕事の後、東京オフィスの全員で飲み会をしました。
仲間と酌み交わすお酒ってのは、どうしてああも美味しいのでしょうか。
珍しく?深酒をしてしまいました。
千鳥足の社長を見た同僚が不安になってなければいいのですが・・・。

その帰りの終電車はそれなりに混雑していた事もあり近くに立つ人がどうしても目に入ります。
その人は年の頃20後半ぐらい、茶髪で、ヘビーな革のジャケットを着込み、首には太いシルバーのネックレスが光っています。
まぁ、一言で言うと少し怖そうな若者ってところです。

電車が走り出すと、ネックレスの彼はカバンから1枚の色紙を取り出し読み始めました。
色紙にはギッシリと寄せ書きがあり、中央には大きく「お疲れ様でした」の文字が。
「何らかの理由で退職して、今日が最終日だったのかな?」と、グルグル回る頭の中で、酔っぱらいなりの勝手な想像を働かせていました。

そんな時、寄せ書きを読む彼が涙ぐんでいる事に気づいたのです。
いや、急に窓の外に目をやる仕草から、きっと泣いていたのだと思います。

「人が生き、そして人と出会うって、なんて素晴らしいだろう。」
36才の酔漢は激しく感動し、つられて目頭が熱くなりました。
本当に美しいシーンを見せてもらいました。
酔いが覚めた酔漢は、あの若者に「ありがとう」とお伝えしたいしたいのです。

人生には出会いも別れも数多くあります。
人との付き合いは期間の長短にかかわらず一期一会だと思い、彼みたいに、人と共にすごす時間を大切にしたいものです。

追伸: ネックレスの彼へ
「電車での携帯電話の通話はいけませんよ~。」