第50回 待つ力

「手前味噌なお話しで恐縮ですが、おいしい味噌ができました。」

第30回コラム 経済発展から経済発酵で人生初の味噌作りを紹介しましたが、待つこと10ヶ月。お正月に樽あけをおこないました。
味噌作りの師匠から、「愛のある家庭でつけた味噌は美味しく、愛のない家庭でつけた味噌は美味しくない。」との恐ろしい予言を聞いていた私は、家族が見守る前で恐る恐る樽の蓋を開けたのです。
家庭でつけた味噌
ご覧の通り、カビが生えた少々グロテスクな状態に「しまった!私の愛は虚像だったか!?」と焦ったのですが「我が家にも愛がありました!」。
カビの下にはご覧の通りこんなに素晴らしい味噌ができていました。
カビの下には素晴らしい味噌
感激。

手前味噌とはよく言ったものです。自分で作った味噌はついつい自慢したくなり、早速特製の味噌鍋をご近所家族に振る舞いました。美味しかったなぁ。

「大豆」「塩」「米」「麹」たったこれだけの素朴な素材に一手間を加え、あとは自然に委ねて10ヶ月待つだけで素晴らしい恵と歓喜の時が訪れる。

味噌作りも組織作りも同じかも。
よい心を持つ仲間が集い、各自の持ち味を活かせる土俵を作り。
自他の成長を信じて待つ。
花が咲き実るまで待つ。
実りは振る舞い、分かち合う。

寿命は長くなり家電の普及などで人生の可処分時間は増えたはずなのに、じっくり待てない時代。「待つ力」「待てる力」は、人も企業もこれからの時代を心豊かに生きるための能力じゃないかしら。