第52回 日本を支える社長さん

“IT企業”や“ベンチャー企業”という言葉には妙なイメージがつきまとうようになった様で、ソフトウェア会社の社長というだけで、強い上昇志向を持ち金銭的にウハウハの人生を目指していると思われる事があります。
「目指すはホリエモン!?」などと言われると返す言葉も無く、ドラえもんのような私の体型をネタにされているのかな?なんて思ってしまいます。

かく言う私もかつては能力に溢れ、強烈な自負心とバイタリティを持ち、溢れ出るビジネスアイデアを強烈なカリスマ性と広い人脈を駆使して進めていくような方が立派な経営者かとなんとなく思っていたりしましたから、イメージとはそんなものなのでしょう。
しかし実際に多くの経営者とお会いすると、自身が全知全能で無いことを自認し、他者にいろんな教えを乞い、案外シャイで人付き合いも決して得意では無かったりする、謙虚で穏やかな方が多いことに気付かされます。
先日食事をご一緒させていただいた設立25年を超す小さな会社の社長さんも、数々の試練を全力で乗り越えてきているだろうに「僕は社員のがんばりと周りの人たちの支えだけでやってこられた幸せ者だよ。」とおっしゃっていました。自分の力で切り開いたなどという自負心ではなく、偶然の縁の繋がりで今日があると心底思っておられるようでした。
会社をうまく経営できる能力とか人を雇える自信があるから会社経営をしているのではなく、望むと望まざるにかかわらずたどり着いた今の立場を、感謝の気持ちと穏やかな使命感を持って過ごす。そこには静かな強さがありました。

マーケットを牽引するような華やかな経営も必要なのでしょうが、この国を力強く支えているのは、そんな人たちなのだと思う今日この頃です。