第67回 惚れちゃった

2010年秋、秋雨の東京でそれはそれは美しい光景を見たのでどうしてもお伝えしたく。

いつもの通勤路。
地下鉄の駅を出ると重い雨が降っていました。
清少納言は枕草子で「雨など降るもをかし。」と雨の趣を詠っているけれど、お客様訪問をひかえた営業マンはとてもそんな気分にはなれません。
憂鬱な気持ちでオフィスまでの道を歩いていると、近くの大学生でしょうか?小走りで私を追い抜いた若い女性が急に止まって地面から何かを拾い、雨がかからない建物の壁の小さな棚になっている部分に置いて、走り去りました。
近づいて見てみると、携帯のストラップだったのかな?フエルトで出来た手作りの小さな人形がびしょ濡れで座っていました。

彼女の顔も見ていないけど。惚れちゃった。

いつの時代でも人にはこんな素敵なやさしさがあるのですね。