第96回 前へ前へ

NHKのドラマ「坂の上の雲」。
ドラマで描かれるあの時代の前へ前へというエネルギーに溢れた人たちを見て、今は亡き祖父母を思い出しました。

明治生まれの亡祖父は昭和初期に単身パナマに渡り貿易業を立ち上げました。当時、外国人を見かける事なさえ無かった四国の漁師町で独学でスペイン語を学んだようです。
亡祖母はたった1枚の写真だけで見合結婚したまだ見ぬ祖父を追いかけ、片道1ヶ月の太平洋をこれまた単身渡りました(渡航前に写真の新郎と結婚式を挙げたそうです!)。現地の人が食用に生きた大トカゲを売りに来て腰を抜かしたそうです。
太平洋戦争の激化により、苦労の先でようやく軌道に乗った事業も全ての現地資産も没収され帰国し、それでもまた日本で新たな商売を立ち上げ10人近い子供達を立派に育て上げました。
あの時代の男の特徴なのでしょうか?祖父は冗談も軽口も一切口にしないとにかく無口で、しかし「坂の上の雲」の主人公達にも決して負けない骨太な強さを持った男でした。
あの時代の女性の特性でしょうか?祖母はどんなときも常にユーモアと明るさを感じさせるしなやかな強さを持った女性でした。

今年ももう残すところ僅か。
不謹慎かもしれませんが、私にとって2011年を40歳というタイミングで迎えたことはきっと意味があったと思っています。
3月11日から心の中の何かが変わり始めたように感じています。
祖父母のように、明治人のように、力強く前へ前へ。