第110回 感じる

2012年7月1日、生レバーが店頭から消えました。
何故かレバーには淡泊だったお陰で駆け込み消費の狂騒には関わらずにすみましたが、好物でしたら矢鱈滅多に食い漁り、トラブルのひとつぐらいは遭遇していたやもしれません。

随分前に他界した私のばあちゃんは味噌、醤油、酢といった調味料から、野菜、豆腐、鶏卵、鶏肉、牛乳まで、食卓に並ぶその多くを自ら自給・自作していました。
そこには賞味期限や明文化された安全指針もなく、ばあちゃんは経験則と、臭い・手触り・舌触りといった自分の五感を駆使して生活していました。
ばあちゃんの「それはもう傷んでいる」「これはまだ大丈夫」の声に従って、たった一度の食中毒も起こしたことはありません。
なんたる自活能力。
人のこうした能力は世代が進むにつれ退化しているとしか思えません。
こんな時代では、安全を最優先した規制が多くなるのも致し方のないことかもしれません。
しかしそんな時代でも私は自分の五感を磨いて生きていきたいと思っています。
「委ねず感じられる」自分でありたいのです。
安全・危険の判断やそれに伴うリスクと結果は正当に負う自分でありたいと願っています。