第124回 あやめること

「あなたはハンターね。」
この言葉は男の勲章に違い無いと憧れて生きて参りました。
その言葉、いまだ女性からは聞けておりませんが、試されるシーンがやって参りました。

美波Lab滞在中に、ご近所の狩猟を行うHさんから「イノシシがワナにかかった。男手が必要なので手伝ってくれ」と連絡があったのです。
イノシシ
職業猟師も減った今、美波町でも増えたイノシシや鹿による農作物への獣害が増えているそうで、Hさんは害獣駆除と猪肉を目的としたワナ猟をされています。

狩猟的行為には興味津々でしたが、いざ丸々と太った土を跳ね上げて私たちを威嚇する野生のイノシシを見るとトドメを刺す為の槍を持ったまま足がすくんでしまい、Hさんとイノシシの格闘をただ見つめるだけでした。
全く戦力にならない美波Labメンバー2人のせいか、結局このイノシシはワナを破って逃走。美波の山に戻っていきました。

逃げられた時、正直ホッとした気持ちもありました。
獣害駆除になるとは言え猪肉は好物だとは言え、いざその場に立つと動物を殺める事への畏れに似た感情は凄まじい物がありました。
しかし、日々口にする多くの食物は誰かの手によって殺められたものであり、殺める側に立つのか殺めてもらっている側に立つのかの違いがあるだけ。
この感情を大切にしなければと思っています。