第126回 田舎の商売

サイファー・テックはDRM事業を営む会社として11年目を迎えています。
10年というのはひとつの区切りなのでしょうね。周りからは「よく10年もひとつの事業を続けましたね」と言われます。嬉しさもあるのですが、求められる役目を果たそうと日々務めてきただけで、「目指す会社にほんの少し近づけたかな?」というのが正直なところです。

この業界に身を置いておりますと、何か事業をスタートするときに「立ち上げて状況次第で売却」「β版としてリリースして様子見」なんて言葉を聞くことは珍しくありません。そう言うスタイルを“器用な立ち回り”としてどこか嬉々として語っているような響きを感じることもございます。
良い悪いではなく、私にはどこか“しっくり”こない感じです。

私の両親は田舎の町で小売店を何十年も営んでいます。
町が過疎化にさらされる中で細々と、日商わずかでも年中無休で粛々と続けています。
長男ではありますが、正直申せば家業を継ごうと思ったことは一度もありません。
しかし、いつか父親から聞いた「いつ行ってもあの店は開いている。と思われるぐらいじゃないと商売はだめだ。」と言う言葉は、商売人の心として大切にしたいと思っています。