第156回 恥の文化

学生の頃読んだルース・ベネディクトの「菊と刀」。
日米の交流もまだまだ少なかった時代に、そして日本を訪れていない人がここまで日本文化論を書けた事に驚きます。
しかし、ベネディクト女史が他人からの視線や批判に強い影響を受け行動する日本人を「恥の文化」と定義したこと、一部は肯定しつつもどうも腑に落ちず、この名著に反感を覚えたものでした。

さてそんな書籍の事などすっかり忘れかけていた先日、当社サイファー・テックは人員増に伴うフロア拡張と、快適で、よりクリエイティブな働き方ができる環境を目指し東京と徳島市内の2拠点オフィスを移転致しました。引越後の社内SNSでの社員間やりとりの中に「快適になったオフィスに恥じない仕事をしたい。」と言う書き込みを目にしました。

他人の目や評価に対しての体裁ではなく、自らのプライドとしての恥。
海や山、そして木々や岩石にさえ感謝や畏敬を感じてきた日本人の感性であり、そうしたものの前で自らの襟を正し良き生き方をするためのよすがにする心。
これこそが私たちがこれからも大切にしていきたい文化のように思います。