第183回 釘抜きばかりしてないか?

「バール」。
大工さんなんかが使う「釘抜き」の事です。

先日、船大工の棟梁と仕事振りについて話しをする機会がありました。
歳も業種も異なるのに、いや、異なるからこその気づきと学びがあり、仕事上・経営上のいろんな相談をさせてもらっています。
会話が進み、仕事上で生じるトラブルのお話しになったときの事です。

 棟梁:「社長、バール(釘抜き)仕事ばかりになってないか?」
 吉田:「バール仕事?」
 棟梁:「釘抜きが必要になるということは、釘を打つことに失敗したということ。釘抜きを使った時点で釘を打つ時間と釘を抜く時間、2つの無駄が生じたということ。腕利きの大工はバールを使わない。だから仕事も速く、仕上がりも綺麗で、儲かる。とにかく会社の技術を上げて良い仕事ができるようにしろ。理屈も客もあとからついてくる。」

トラブルが発生したときの火消しって、アドレナリンが出るだけに対処後に妙な快感を伴い、密かな悦に酔う部分がありました。「やっぱ、ここには俺の出番が必要だ」なーんてね。
棟梁、ありがとうございました。バールを極力使わない組織を作ることを改めて自分のミッションにしたいと思います。