第188回 美波Life シーズン3

「仕事も個人の大切なXも共に大切にする生き方。」
「都会では時に捨てざるを得ないXを日常にできる働き方。」
2012年の5月、“半X半IT”を謳ってサテライトオフィス 美波Labを設立しました。
採用難に悩む経営者の苦肉の一策。
「1億人以上が住む日本。波乗りや釣りや農作を愛してやまないエンジニアがきっと居る。」
「とはいえ、過疎化の進む四国の小さな町に移り住んでくれる若者なんて本当に居るのか?」
内心、根拠の無い自信と不安が同居したスタートでした。
そんな時、「大好きなサーフィンと海に寄り添う人生を送りたい。」と一人の青年がボードを抱えて埼玉からやってきました。
“半波半IT”住吉君。
「運命の人が居た。」そんなロマンチな喜びを感じたものです。

あれから三年。
移住直後は漁師さんとの会話でも通訳を必要としていた住吉君が、地域の顔になりました。

“ちょうさ”を指揮する責任者住吉君
「進め!」 東町の“ちょうさ”を指揮する責任者住吉君

江戸時代から脈々と続く美波町日和佐の秋の例祭(ちょうさ祭り)で。
数ある“ちょうさ”の中でも格式ある東町の先輩方を束ね。
祭りの締めくくりを担う8番太鼓の責任者を。
歴史と、伝統と、数十人の安全と、祭りの盛り上がりの全ての責任を担う重責を。
移住者の住吉君がつとめあげました。
重責に苦悩しつつもつとめあげました。

夜8時、東町の“ちょうさ”の太鼓が止み、祭りは終わりを告げ、真っ暗になった神社の境内で、支えてくれたもの全てに深々とお辞儀する住吉君が居ました。
みんなから高々と胴上げされる住吉君が居ました。
共に汗を流した関係者と抱き合う住吉君が居ました。
「地方創生」「地方活性化」なんて言葉では語り尽くせない感動。

もうすっかり町の顔。
美波Life シーズン3。
闇に紛れて、吉田は涙しました。