第216回 生きてるうちに動け

“細川のおっちゃん”が死にました。
またひとり、美波町でお世話になった方が亡くなられました。
またひとり、まちの名物がいなくなりました。

細川のおっちゃんとご縁をいただいてから4年ほど。
おっちゃんは、お祭りと人が集まる場と愉快なことが大好きな、実に美波町日和佐らしい方でした。
どんな会話もユーモアを含んでいました。移住してきた若者たちとも一緒に場を楽しみ、少しお酒が過ぎると、珍妙な踊りを披露して笑わせてくれました。
そんなおっちゃん、怪我もあったりで近頃はめっきり衰えていました。時には見ている方がハラハラするほどの時もありました。それでもいつも動き回ってました。毎日のように畑に出ていました。夏に大好物のウナギをお裾分けに行くと満面の笑みで喜んで、「社長、来年は一緒に獲りに行こうな」と言ってくれました。
秋にお会いした時にはさすがに心配で、「おっちゃん、もうそんなに動かんでもええんちゃう?」と言葉をかけたら、「いけるいける(大丈夫、大丈夫)。死んだら動けなくなるけんな。」と笑ってました。

そんなおっちゃんが突然亡くなりました。
最後にお顔を見に行くと、おっちゃんが言っていたとおり動かなくなっていました。
祭シーズンを終えた途端に逝くなんて、おっちゃんらしいと思いました。

おっちゃん、ほんまにありがとうございました。
「死んだら動けなくなる」
おっちゃんの言うとおり、生きてるうちに動きます。
おっちゃんの様に、場と時を楽しんで、できることなら人を笑顔にできるよう生きていきたいと思います。