第245回 オリンピックの夢

羽生選手やカーリングチームの活躍で盛り上がる平昌オリンピックのさなかに聞いたお話。
小柄でキュートな女性から聞いた、どんなメダルよりも輝くお話し。
私の拙い文章で彼女の生き様を切り取るなんて、本当はやってはいけない気がするのだけれど、震えるような感動を、どうしてもお伝えしたく。

徳島行きのフライトで、偶然隣に座ったのは、少しだけ面識のあった女性、栗栖良依さん。
1時間と少々の時間、はじめてゆっくりとお話しを伺いました。
学生の頃、偶然テレビで観たオリンピックの開会式に心を打たれた栗栖さん。
「オリンピック開会式の演出をする!」を自分の夢に定め、それからは学びも仕事も、全ての進路をオリンピックの夢に近づくために選択しました。
ところが、30才を過ぎた頃に発覚した病。再発や移転により、生存率がとても低いと宣告された重い骨肉腫でした。
治療の結果、右脚の機能を失い障がい者となった彼女は、再発により短く限られているかもしれない命なら、いつ来るのか、仮に日本に決まったとしても演出メンバーに選ばれるのかも判らないものに賭けるのではなく、今その時にできることをやり切ると決めて、社会復帰。障がい者の芸術活動支援などに取り組んでいた先で観た、ロンドンパラリンピックの開会式。「パラリンピックの開会式の方が面白いかもしれない!」と、次の夢を見つけ夢に繋がる活動を再開。

そして・・・
2020年のオリンピック・パラリンピックが東京開催に決まり、そうして障がい者イベントの開催・運営で知見を積んでいた彼女は、両大会の開会式・閉会式の演出チーム8名に選ばれました。

夢を見つけ
何の確約も無い未来に賭け
教科書もレールも無い道を選択し
命に関わる不運に見舞われても歩き続け
そしてその舞台に立つ

こんなことをやってのけた彼女が繰り返すのは「全て私は運が良かったんです」。

そんな栗栖さんが演出する式典。
これほど待ち遠しいオリンピック・パラリンピックは初めてです。
東京オリンピック・パラリンピックまで、あと2年。

栗栖良依さんの紹介記事