第22回 日本一の下足番

「下足番を命じられたら日本一の下足番になってみろ。そうすれば誰も君を下足番にはしておかぬ。」(小林一三 阪急東宝グループ創始者)

近頃吉田の好む言葉です。
貧農の子から信長の草履取りになり、やがて関白にまでかけあがった豊臣秀吉の生き方を連想させますね。

草履取りという職種は絶えて久しいですが、例えば企業や組織の中で「もっと良いポジションを与えてくれたら活躍できるのに」とか「あの学閥だったら出世できるのに」と言っている人への訓戒の言葉でしょう。
しかしこの言葉は企業経営者にもあてはまります。
例えば私などは
「我が社にもっとブランド力があれば」
「我が社ももっと社員がいれば」
「我が社に資金が潤沢にあれば」
「自分にもっとビジネス感覚があれば」
というような思いが去来することがあり、時には口にしてしまいます。
そんなとき小林翁の言葉を思いだし「本当に今置かれた立場でやれることは全てやったのか?」と自問してみます。するとそんな事を言っているときに限って案外やりきっていない自分に気づかされます。

「やれることをやりきる」きっとその先にまだ見ぬ明るい世界があるはずです。