第14回 師の恩 海よりも深く

徳島県出身の吉田が東京に来て7年ぐらいになりますが、その前は大阪の某大手企業の子会社で3年ほど働いていました。

先日、大阪に立ち寄る機会があり、当時勤めていた会社の社長に8年ぶりにお会いし、お酒を酌み交わす事が出来ました。社長は江戸時代から続く名家出身で、当時からどこか悠々とした雰囲気がにじみ出ている方でしたが、現在は既にリタイアされ、ボランティア活動や読書や料理やお四国参りなどで、さらに悠々と良い時間を過ごされているようです。

今にもまして浅学無知だった当時の吉田。自ら立ち上げた新規事業に傾倒するものの満足な成果は出ず、そのくせ生意気で、偉そうな事と無理を言い散らかす小憎たらしい社員で、面倒と心労をおかけすることが多かったに違いありません。私自身が社長になった今、当時を振り返ると当時の自分の言動を恥ずかしく思います。本筋を外した行動をしたときは厳しくおしかりを受けたことを覚えていますが、社長は常に物事の在り方、考え方のみを伝えた上で、仔細は四の五の言わずに、自由裁量で事業を任せてくれたと思います。その経験は、デジタルコンテンツに関わる現在の仕事にも大いに繋がっています。

私が属した会社は、親会社(関西で1,2を争うような名門企業です)のグループ企業再編の動きの中で残念ながら閉業することとなり、私は幸いにも親会社への転職話を頂きましたが、「この機会にお江戸に出て、一旗挙げるか」程度の実に軽いノリでお誘いをお断りし、上京してきました。

久しぶりの再会に少しお酒が過ぎたのか二人とも良い感じに酔っぱらい、繰り広げた会話の中で、当時職を失いかねない私の為に、親会社へ転職出来るよう社長が尽力してくれていた事、そしてその後も私のことをいろいろと気にかけてくださっていることを知りました。本当に、ありがたいと思いました。

「師の恩海よりも深し」という言葉と感謝を忘れずに、「青は藍より出でて藍より青し」を目指して自分をより成長させることでお礼をしたいものです。