第163回 身近な先生

とある地方の小さな町の小さな個人商店の店主に聞いたお話です。

元もと家庭雑貨の小売店でした。
大規模店も通信販売も少なかった頃は地元のお客様でそれなりに賑わっていたようです。
やがて人口が減り始め、そしてその田舎町からも若者が都会に出て行くようになりました。
遠く離れた子供たちに野菜やお米を送りたい親のニーズを見越し、宅急便の荷物取次を始めました。
母親たちが少しでもお店に足を運んでくれるようにと。
さらに時は流れ、町は高齢化が進み、主なお客様であった主婦は減っていきました。
店主、今度はお墓や仏壇に供える仏花の販売をスタートしました。
高齢のお客様が少しでもお店に足を運んでくれるようにと。
こんな工夫の先で店主は75才を超えた今でもお店を続けています。

世の動態を捉えてサービスを変化させる。

子供の頃には気にもならなかったことも、今になって聞くと実に考えさせられます。
この店主、私の父親でございます。
マーケティングセミナーも良いけれど、身近な商売の先生にもっと話を聞いておかなくっちゃ。