第176回 続けること。やめること。

過疎化・高齢化が進む人口7,500人の徳島県美波町。
昔は点在していた食料品や雑貨屋さんも、もう皆無に近い状況になってしまいました。
町にはひとり暮らしで自動車やバイクにも乗られないご高齢者もたくさん居られ、「買い物難民」が決してテレビの中の事象ではなく日本中で起こりつつある現実で、そこでは徒歩で立ち寄れる馴染みの店の存在がいかに大切かを知るようになりました。

その美波町からまたひとつ食料雑貨のお店が姿を消しました。地区に最後まで残っていたお店でした。
私もちょくちょくお世話になっていたお店なので、長らく地域の暮らしを支えて下さったお店なので、そして50年という長きに渡りお店を続けた商売の大先輩ですので、営業最後の日にはどうしても立ち寄りたくなり足を運びました。
立派な野菜や果物がいつものように並んでいました。大将は変わらず気さくに声をかけてくれました。ご近所さんたちが集まっていました。普段は都会に住む娘さんたちがその日を見届けに戻っていた以外、これまでと何ら変わらない様子に見えました。それでも、「今日で閉めるんだ。」とおっしゃられました。

誰かの役に立つこと。長く続けること。やめる決断をすること。惜しまれながら役目を終えること。
僅かな滞在でしたが多くのことを考えさせていただきました。

食料雑貨のお店が姿を消しました

おっちゃん、おばちゃん。
50年間本当にご苦労様でした。
閉店の日に教えていただいたこと、これからの商売に活かしていきたいと思います。