第157回 「以テ六尺ノ孤ヲ託スベシ」

「以テ六尺ノ孤ヲ託スベシ」
かの前田利家公は豊臣秀吉から息子秀頼の将来を託されたとき、この論語の一句を思い胸を熱くしたのだとか。

先日、南の島で夫婦となった友人二人の結婚式に立ち会うことができました。
私とお二人との出会いは数年前。
ふらりと入った近所の飲食店の大将と店員さんでした。
そのお二人が結ばれ、こうした機会をいただきました。
四国の片隅から東京にのこのこと出てきた私の、知らぬが故の先入観。
東京の人間は冷たいものだと決め込んでおりました。
他人との深いお付き合いを東京には期待しておりませんでした。
ところがこのお二人には我が子を預かっていただいたり、ときには泊めていただいたりするお付き合いをさせていただくこととなりました。
お二人が持つ人としての芯の太さと真っ直ぐさなのでしょうか。
子供たちはお二人を親のように信頼し、私も安心して我が子を委ねることができます。ときにしつけさえも。

「以テ六尺ノ孤ヲ託スベシ」
南の島の夜空の下でお祝いのお酒を一緒に飲みながら、ふとそんな一句を思いだしました。
いつの時代にもこんな人たちがいる。