第164回 ちょうさ祭り

徳島県美波町日和佐地区の1年できっと最も熱い日「ちょうさ祭り」が今年も終わりました。
「365日、364日・・・」と、次の祭りまでを指折り数えて1年を過ごす好き者も存在するこの町の風物詩です。
古いものは1700年代から続く町内8地区の8台の“ちょうさ”と呼ばれる太鼓屋台を担いで町内を練り歩き、太平洋に飛び込みます(今年は台風による波浪で海には入れませんでしたが)。
ちょうさ
各地区の運営役は一年を通じてこの日の為の準備を重ね、参加者は自分の地区の“ちょうさ”の美しさを誇り、男たちは祭り一番のパフォーマンスを目指して力を尽くし、ちょうさに座乗し太鼓を叩く子供たちは懸命にバチを振り続け、女性はとうちゃんや息子や彼氏の晴れ舞台を見つめます。
この日ばかりは静かな港町が美学とプライドと責任感と喜びが入り交じった不思議な緊張感に包まれています。

サイファー・テックのメンバーも担ぎ手、運営役としての役目を担っており、数年ぶりに私も参加しましたが、数十人で担ぐとは言えとてつもない重さ。やがて声も枯れ全身の痛みと心地よい疲労感に包まれました。
サイファー・テックのメンバー

人口減少により担ぎ手が減少した今では、地区を越えてみんなで協力して担ぎ合いをしなければ8台の“ちょうさ”が無事に巡行を終えることはできなくなってしまいました。それでも私が好きなのは「自分の“ちょうさ”を愛するように、他人も自分の“ちょうさ”を愛している」ことを理解して敬意を持って他の地区の“ちょうさ”を応援する姿。そして他の町からやってきた新参者も共に楽しみ共に祭りを支える“仲間”として受け入れてくれる心。
“ちょうさ祭り”に参加させていただき、改めてこの町の魅力と懐の深さを感じることができました。私たちも地域の一員であることを実感できました。

「来年の“ちょうさ祭り”まであと362日・・・。」