第272回 頭の中はなくならない

大切な友人の選挙に居ても立っても居られず、週末を利用して九州の田舎町に応援に来ました。乞われるままに、人生初の応援演説をしました。
その地に選挙権どころかゆかりも無い男の、ただ熱くなるだけの演説。何の応援になったのやらと不安がっていた私を、講演を聴いていた年配のご夫婦がご自宅にお招きくださいました。

奥さまは東京から嫁いで60年になること、今は廃業した商売のこと、離れて暮らす子供たちのこと、町は変わりゆくこと、それでも変わらぬものがあること。何人もの東南アジアからの出稼ぎの方の親代わりをしてきたご夫婦は、「全ては繋がっている」「海の下にも地面はあり、世界は繋がっている」と何度も何度も繰り返していました。「考えて、行動して、頭の中に覚えたことは、落としもしないし無くしもしない。それだけを思ってやってきた。」と話してくれました。そして、私のやっていることや考えていることを熱心に聞いて、学んでいました。

東京から遠く離れた旅先の田舎町で教わった生きる姿勢。
傘寿を超えた先輩が今も続けていること。
40代の私こそ忘れてはいけないこと。